たまーに月刊誌の単行本を買うよ。第2回「ざつ旅」
旅なんて普段の生活圏から出れば、それはもう旅だと思っている。それは人それぞれであり、感じかたもやはり人それぞれだ
日本の端っこに行ったことはあるだろうか?本州の最北端や最南端、更には日本の最北端…など。
そこには自転車で日本一周している人もいれば、歩きで日本一周している人もいる。てかいた。この目で見ました…たしか、日本一周挑戦中の旗かなんかを背負っていて歩いていた。
なんでそんなことをしているのかとか、歩いて日本一周を実践している意義を考える前に、「すごい!」という感想しか出てこなかった。まあ、旅の意味なんて本人にしか判らないのだが。
旅の手段も、飛行機、船、車や自転車、徒歩など様々である。
つまり旅にはこれといって基準がない。
あまりに「旅」という単語が曖昧なので、ちょっとコトバンクで調べることにした。
旅(読み)タビ
たび・する
りょ
1 住んでいる所を離れて、よその土地を訪ねること。旅行。2 自宅を離れて臨時に他所にいること。
ううん?これでもなんかしっくりこない。しかしその下の項目に、旅の意味を応募している項があった。
◆心に栄養をくれるもの。
みみさん
◆不足している何かを求め行動すること。何かとは旅によって異なり、それが意外なものである場合や、見つからないことなどもある。
kamekoさん
◆実際に、あるいは想像上で、時間と空間の移動をすること。元のところに帰ってくることが前提になっているので、移動したまま戻らないことは旅とは言わない。
らんるるさん
ちょっと抜粋してみた。なるほど、はやり人それぞれに旅の意味は定義される。
旅をしたからといって、なにか意味を見つけることができるとはかぎらない。
よく「自分探しの旅」という言葉があるが、見つけて帰ってきた人はそういないだろう。そんな簡単に見つかるならみんな旅をしているはずだ
ちなみに、自分の場合は旅はちょっとした気分転換になればいいなあという感じだ。繰り返し、退屈な日々へのちょっとしたスパイスという位置付けである。
あー、長くなってしまった。
月刊誌の電撃マオウに連載中の「ざつ旅」を今回は紹介しよう。
主人公こと鈴ヶ森ちかは新人漫画家、大学生。
なんかの漫画賞にて入賞し賞金100万円を手に入れていた彼女は、連載用の原稿を出版社へ持っていく…が、事はそうそう上手くは運ばない。
唐突に「旅に出たい…」と思った彼女は、Twitterにて東京から東西南北どこにいけばいいのかアンケを取る(これは実際にTwitterでやっているらしいよ)。
アシの仕事はない…次のネームのアイディアもなし。様々な不安が湧き起こるが旅にでたいという気持ちに嘘はない
そして、決まった行き先は東京から北へ。
まあざつ旅というだけあって、細かい行き先は決まっていない。ちかは駅で見つけたチラシで決めることにした
駅弁を食いながら電車を乗り継ぎ、着いたのは会津若松。
旅といえば…温泉ということで、Googleマップを駆使して徒歩で温泉街まで行くことに
予約していなかった宿を取ることができ、温泉に入るちか。昨日のこの時間はネームボツになったり散々だったが気分転換になったようだ
疲れてどっぷり眠ってしまった次の日、朝食を取り2度目の温泉に入り満喫する鈴ヶ森ちか。くそう、温泉入りたくなってきたな
せっかくなのでと、温泉街を見て帰ろうとすると…階段が1225段ある神社を見つけてしまう。登らないよな…登るのか?
これは旅に出てからの変化だろうか、非日常だからだろうか旅って謎の高揚感があるよね。
一人旅だった物語は、その後一緒に旅をする相棒が増えていく。その次は友達の蓮沼暦を加えて富山県の黒部宇奈月温泉へ。
後輩の鵜木ゆいを四国の香川へ連れて行くことも。
旅というのは、別にしなくてもいいものである。日常に於いて必須ではない
このざつ旅という漫画は、特に軸になる物語もなく淡々と進行していく。
旅先の紹介や旅先の人との関わり、友達との普段と違う場所での会話。なんとも形容し難い漫画だ
ルポ漫画とは似ているようで違うようだが…。一応、鈴ヶ森ちかとその周りの人物を軸に物語は展開される。彼女の漫画家という要素が今後物語に強く影響していくことになる
たぶん新人漫画家の鈴ヶ森ちかが、旅先からなにか影響をうけてヒットする漫画を描くことが終着点なのか…そこもどうかわからない。
だが、わからなくてもいいと思う。
旅には答えはない…それを体現しているような漫画である。
旅先で刺激を受けながら、再発見する自分の立ち位置や友達との関係。普段の何気ない幸せを感じることができれば十分ではないだろうか